DHC-オンライン講座 料理で学ぶ英日翻訳基礎演習コース
このコースの添削課題はLesson 2,Lesson 4,Lesson 6の最後にあります。添削をご希望の方は,DHC総合教育研究所の『資料請求・お申し込みページ』から講座受講(税込15,750円)をお申し込みください。受講生の方は,すべての講座の広告の入らないPDF版のTextbookを受講生専用ページからダウンロードできます。
はじめに翻訳はおもしろい! 料理もおもしろい! 「好きこそものの上手なれ」。あまり興味のわかない題材を使って翻訳を勉強するより,自分の大好きなこと,いつも仕事などで接している分野の文章を題材に学べたら楽しいし,楽チンだとと思いませんか? そこで生まれたのがこの講座です。「好きなことで翻訳を学ぼう」シリーズの第1弾として,とくに女性の皆さんに身近な料理を選びました。食べることが大好きな人,料理が大好きな人に,料理にまつわる例文や例題を使って翻訳を学んでいただこうという趣向なのです。例題は,いまや大流行の勢いを見せるブログ(インターネット上の日記)を中心に,英字の新聞や雑誌,小説などから採った生きた英語です。どうぞ楽しみながら大いに学んでください。  この講座全体の最大の目的は,(レシピをいくつか覚えていただくことも大きな目的のひとつではあるのですが)いわゆる「英文和訳」と「翻訳」の違いをしっかりと認識していただき,第一線の翻訳者への着実な歩みを進めていただくことです。学校の授業や試験で行われる「英文和訳」の目的は,生徒が原文の構造を把握し,その文の意味を(ある程度)理解しているかどうかを見るために,教師が利用するものです。訳文が日本語として自然なものであるか,原文が表現する世界を細部まで忠実に写すような文になっているかは,ほとんどの場合,あまり問題にされません。 翻訳の究極の目標は,原文の読者に対して与えるのとまったく同じ印象を訳文の読者に対して与えるような翻訳をすることです。小説を翻訳する場合ならば,原著が読者に与えるのと同じ感動を,訳書を読んだ読者に与えられなければなりません。レシピなら,食材の名前も量も作り方も,正確でわかりやすく,手順も想像しやすくなくてはなりません。原文と訳文では,その文が書かれた文化的背景も読者の知識も同じではありませんから,このような翻訳は通常は不可能です。とくに「食」にまつわる文化は,千差万別ですから一筋縄ではいきません。しかし,翻訳者はこの理想にできるだけ近づける努力をする必要があります。元の言語の単語が辞書に載っている訳語に変わっているだけでは不十分なのです。 この講座では,料理に関する文章を題材として,「英文和訳」と「翻訳」の違いが比較的明確に現れる6つの事柄に焦点を絞り,それぞれをひとつのLessonとして,皆さんに実習していただきます。もちろんこの講座で取り上げたことが「英文和訳」と「翻訳」の違いのすべてではありません。そして,この講座の内容を身につけさえすれば翻訳に必要な技術がすべて身につくわけでもありません。しかし,この6つのLessonを通して学ぶ翻訳に対する姿勢は,どのような翻訳をする際にも役に立つのです。 翻訳者は次の2点をいつも確認しながら訳文を作っていく必要があります。この2点をいつも念頭に置いて翻訳をしなければならないのです。 原文の描き出す世界がもれなく正確に映し出されているか 自分の言葉で,自分が見聞きしたことのある自然な表現を使った,違和感のない訳文になっているか いずれも抽象的で,実際の英文に対したとき,特に初心者は,どのようにすればこれを確認できるのか判断に困るでしょう。そこで,6つのLessonのそれぞれで具体的な例を通して学んでいただくようになっているわけです。各Lessonで学ぶポイントは,それぞれが独立した内容になっています。しかし,いずれも上にあげた2つのポイントを,具体的な構文や表現に合わせて適用する方法を説明しています。6つの場面について具体例を示すことで,上の2点をどんな場面でも確認できる力をつけていただくのが,この講座の目的です。 上のポイントだけを見ると,原文の構造や意味の把握に重きを置いていないことに違和感を持つかもしれません。もちろん,原文の意味がしっかりと把握できることは大前提です。しかし一方で,日本語にしたときに,きちんと辻褄(つじつま)が合っているか,論理的に破綻していないかをチェックすることは,原文を理解する上でも大切なのです。訳文で論理が破綻しているのならば,ほとんどの場合,原文の解釈が間違っているはずです。日本語としておかしくない,できる限り美しい文章を書こうとする努力は,原文を正しく解釈する面でもとても重要なことなのです。 自分の言葉で原文の内容を確実に伝えられる訳文を作り出す方法を身につけていただくこと,それがこの講座の目的です。 翻訳はおもしろい! 料理もおもしろい!
2005年(平成17年)2月
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